サーフィンを通じて得た学びは、ただ波に乗る楽しさだけではありませんでした。それは、気持ちを整理し、他者に伝えるための「文章術」にも影響があると考えています。文章術は、単なるノウハウだけでなく、まるでサーフィンのように、試行錯誤を重ね、読者と調和するための「手段」であると考えています。
私が文章を書く上で最も大切にしているのは、「サーフィンを知らない人にも伝わる文章」を目指すことです。専門用語を並べ立てるのではなく、いかに平易な言葉で、本質を伝えるか。そのためには、以下の5つの要素が不可欠だと考えています。
1.テーマを絞り、シンプル化する: 伝えたいことを明確にし、余分な情報を削ぎ落とす。
これは、波を選ぶように、最も重要なメッセージに焦点を当てる作業です。
2.書く前に構成を考え、組み立てる: 読み手が迷子にならないよう、論理的な流れを作る。
まるでテイクオフからライディングまでをイメージするように、文章の全体像を設計します。
3.文章中に「?」「!」(驚きや発見)があるか: 読み手の知的好奇心を刺激し、共感を呼ぶ要素を入れる。
新たな波を見つけた時の興奮や、上手く波に乗れたときの感動を伝えます。
4.重点先行: 読者がすぐに重要なメッセージを受け取れるよう、最も伝えたいことを冒頭に持ってくる。
これは、いい波に乗るために良い位置から効率的にパドルを漕ぐようなものです。」
5.サーフィンする(何かに熱中する): これは比喩的な表現ですが、最も重要なことです。
心から熱中できる何かを持つことで、伝えたいメッセージが熱を帯び、文章に火が灯ります。
情熱こそが、読者の心を動かす出発点となるのです。
もちろん、1~4については、多くの文章術の本で繰り返し述べられている普遍的な要素です。しかし、私が強調したいのは「5.サーフィンする」という、一見すると文章とは関係ないように思えるこの要素です。何かに深く没頭すると、その対象へ純粋に「伝えたい」という思いが湧き上がると思います。
書くことの最大の効用は、考えの「可視化」にあります。頭の中の漠然とした考えや感情を言語化し、文章としてアウトプットすることで、思考が整理され、新たな発見が生まれるのです。文章力を高めることは、自己理解を深め、より明確な思考力を養うことと同義です。
私はサーフィンによって、多くの困難を知り、見識が広がり、そして何よりも自分自身の未熟さを知ることができました。サーフィンで得た学びは、私の人生の「ものさし」となり、あらゆる判断の基準となっています。サーフィンで培った経験や洞察を文章化することで、次の新たな展開へと繋がることを期待しています。読み手にどのように伝わるかは分かりませんが、少なくとも、自身の思考を言語化し、可視化するプロセスは脳内の整理と深化に繋がるのではないでしょうか。
日頃から心に留まったことや、人との会話でハッとしたとき、あるいは漠然とモヤモヤを感じたとき、「殴り書きでもいいからメモを取る」習慣は、こうした思考の可視化と文章力向上への第一歩となるでしょう。