陸上競技の選手が、ランニングマシンでフォームを矯正したり、心肺機能を高めたりすることがあります。しかし、実際に外に出て風を感じ、地面を蹴りながら走る感覚とは、やはりどこか違います。
サーフィンにおける陸上トレーニングも同様です。多くのサーファーが利用するサーフスケートは、海に入らずとも波に乗る感覚を味わえる有効なツールですが、使い方を間違えると大きな落とし穴にはまる可能性があります。
サーフスケートは、波に乗る感覚を陸上で再現できるよう設計されたスケートボードです。専用のトラック(車軸)が搭載されており、体重移動だけで波の上を滑っているかのようなターンや加速を可能にします。
主に以下の4つのパーツで構成されています。
デッキ(板): サーフボードにあたる部分です。サーフィンでのスタンスなどに影響を与えます。
トラック(車軸): サーフスケート特有の動きを生み出す主軸となる部分です。体重荷重に応じて左右に傾けることで、波の上のようなターンを生み出します。
ウィール(タイヤ): 地面と接するタイヤです。柔らかさや硬さ、接地面積など、路面に応じたウィールを選ぶことで、スムーズに走ることができます。
ベアリング(回転パーツ): ウィールをスムーズに回転させるための部品です。高品質なものであれば、滑らかな回転でスピードが出やすくなります。
さらに細かいパーツやバリエーションも豊富で、自分のレベルや目指すスタイル、目的に合わせて無数の組み合わせでカスタマイズできます。
サーフスケートは、正しく使えばサーフィンのスキルアップに直結する素晴らしいツールです。しかし、使い方を間違えると逆効果になる「落とし穴」があることも忘れてはいけません。私もサーフスケートに夢中になり、練習を重ねる中で、自分のサーフィンを見直す機会がありました。海でのライディング映像を見返したところ、驚くほどにサーフスケートでの悪い癖がそのまま現れていたのです。
この経験から、サーフスケートでの反復練習は、正しいフォームを意識的に身につけることが重要だと痛感しました。自己流の練習で間違ったフォームや癖を身につけてしまうと、それが海でのライディングにも悪影響を及ぼす可能性があります。せっかくのトレーニングが逆効果になり、「間違った型」が身体に染みついてしまうこともあるのです。そして、一度「間違った型」を修正するのは、なかなか困難です。
新しいツールを安易に導入するだけでは、自分の中に「間違った型」を広げてしまうリスクがあります。大切なのは、ツールの本質を理解し、目的を明確にした上で、正しい使い方を学ぶことです。道具は、正しく使いこなせてはじめて、あなたの力となります。