サーフィン

サーフボードの選び方

30歳頃からサーフィンに魅了され、気づけば人生のほとんどを波と共に過ごしてきました。波のコンディションを読み、自分にぴったりの一本を選ぶ日々は、まるで人生そのものを映し出すようです。サーフボード選びの極意は、実は人生を豊かにする思考法に通じている、そう感じています。

巷には「初心者にはこのモデル」「このブランドが最高」といった情報があふれています。しかし、本当にそのボードがあなたにとってのマジックボード(最高の相棒)なのでしょうか?他人の評価や権威あるブランドの言葉に惑わされ、自分の感覚を置き去りにしていないでしょうか?

「ときめき」と「権威」のふたつの選択
私はサーフボード選びの基準を、「ときめき」と「権威」という2つの軸で捉えています。

1. ときめきの選択(自主的な選択)
これは、自分の直感や感覚を最優先する選び方です。

特徴:

ショップで初めて目にしたときの、心惹かれる感覚。

ボードのフォルムやデザインに「これだ!」と直感的に感じる。

乗りたい波のイメージや、挑戦したい技が明確になる。

具体例:

「このレトロなデザインがかっこいい」

「テール部分のこのシェイプ、なんだか自分に合ってそう」

「このボードなら、もっと上達できそう」

得られるもの:

自主的に選んだボードだからこそ、乗りこなそうとする強いモチベーションが生まれます。

失敗しても「なぜ失敗したのか」を深く考え、次の行動につなげることができます。

自分自身の「好き」や「得意」を深く知る機会になります。

2. 権威の選択(受動的な選択)
これは、他人の言葉や情報に頼る選び方です。

特徴:

雑誌やSNSで「プロが絶賛!」と紹介されているボードを選ぶ。

店員さんの「これが一番売れてますよ」という言葉を鵜呑みにする。

ブランド名や価格の高さでボードの良し悪しを判断する。

具体例:

「〇〇という有名ブランドだから間違いないはず」

「初心者はまずこのモデルから始めるべきらしい」

「レビューサイトで評価が高かったから、これを買おう」

得られるもの:

安心感は得られますが、サーフボードへのこだわりは薄くなりがちです。

うまくいかないときに、サーフボードや情報のせいにしてしまいがちです。

「自分は本当は何が好きなのか」という問いを見過ごしてしまいます。

サーフボード選びが教えてくれる、人生の本質
サーフボード選びは、実はクリティカルシンキング(批判的思考)のトレーニングです。他人の言葉や情報を鵜呑みにせず、「なぜそう感じるのか」「本当に自分に合っているのか」を深く考える力こそが、私たちの意思決定をより確かなものにしてくれるのです。

この思考法を身につけるためのヒントをいくつかお伝えします。

直感を信じる

まずは、頭で考えすぎず、第一印象で「良いな」と感じたボードを大切にしてください。サーフィンは主観的な体験。あなたの「良い感覚」こそが、最も重要な情報です。

感覚を言語化する

「なぜ良いと感じたのか?」を言葉にしてみましょう。「ノーズが丸いから安定しそう」「この軽さならアクションが楽そう」といった具体的な理由を考えることで、あなたの好みがより明確になります。

内省を習慣にする

選んだボードで失敗したとしても、それは学びの機会です。あるボードでうまく波に乗れなかったとします。また別のボードでも、同じように乗れなかった。さらに別のボードでも...。こうした複数の具体的な失敗経験を積み重ねることで、あなたは次第に「どうやら、浮力が少ないボードはテイクオフは難しいけど、ライディングコントロールはしやすい」などという自分なりの共通の法則や結論を導き出せるようになります。

この帰納的な思考こそが、あなただけの「マジックボード」へとたどり着く道なのです。多くの試行錯誤という事実から、あなた自身の最適な選択肢を導き出すことで、成功への確実な一歩を踏み出せるでしょう。

サーフボード選びは、ただの道具選びではありません。それは、自分自身と向き合い、人生の選択をより豊かにするための練習です。

さあ、次の一本を選ぶとき、あなたは「ときめき」と「権威」、どちらを信じますか?サーフィンは、誰かの言葉ではなく、自分自身の感覚で波と対話するスポーツです。それは人生のあらゆる選択にも当てはまります。

他人の評価を気にせず、自分の直感を信じて選び抜いた一本は、たとえ乗りこなせなくても、あなたにとってかけがえのない「マジックボード」になるはずです。

あなたが心からときめく、あなただけの特別な一本と出会えることを心から願っています。

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