サーフィン

センス・オブ・ワンダー

好奇心は、人の心をあたためてくれます。そう気づかせてくれたのが、レイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』でした。

「センス・オブ・ワンダー」とは、「神秘さや不思議さに目を見はる感性」のことです。特に幼い頃は、感受性という土壌を耕す大切な時期だと本に記されています。

「感じる」は、「知る」を相当に越えてゆきます。子どもたちは自然から「感じる」ことで、のびのびと学びます。楽しみながら驚き、発見する子どもたちの姿は、大人にとっても大切な学びの機会となるでしょう。

私たちは自然に囲まれていても、その豊かさに気づかず過ごしてしまうことがあります。たとえば、夜空を見上げることはどれほどあるでしょうか。見慣れたものはやがて当たり前になり、感動や不思議さが薄れていきます。それが、感性が鈍っていくということなのかもしれません。

それに気づいたのは、逗子の海風がそよぐ公園のベンチで『センス・オブ・ワンダー』を読んでいたときのことでした。ことばを辿るにつれて、蝉しぐれのBGM、頭上を旋回するトンビやウミネコの効果音、波のシンフォニー。風が頬を撫で、太陽の光がやわらかく皮膚に広がっていきます。これらが、そっと五感に届いてきました。

自然と静かにチューニングがされていくようです。そのとき、いかに自然に心を向けず、日々を過ごしていたのかを思い知らされました。それでも、カーソンの言葉にうなずく自分がいたことに、どこかほっとしたのです。

 

「センス・オブ・ワンダー」を持っている人へ、カーソンはこんな言葉を贈っています。

人生に飽きて疲れたり、孤独に苛まれることは決してないでしょう。
たとえ、生活のなかで苦しみや心配ごとに出あったとしても、
かならずや、内面的な満足感と、生きていることへの新たなよろこびへ通ずる小道を見つけだすことができると信じます。
生命の終わりの瞬間まで、生き生きとした精神力をもちつづけることができるでしょう。

この言葉は、私にとって、これからを生きる上での支えとなっています。なぜなら、カーソンのメッセージは、私がサーフィンを通してすでに感じ始めていた感覚と重なっていたからです。

海と調和し、ひとつになる瞬間。そこには、確かな満足感と心の癒し、そして時に奮い立たせてくれる力があります。思うようにいかないことさえも、学びとして受けとめられるようになるのです。

波のエネルギーは、ときめき、やすらぎとの間に揺れ動く、恋愛のような存在。これが私にとっての「センス・オブ・ワンダー」です。この先、どんなに辛いことがあっても、少しだけ頑張れる気がしました。

サーフィンに出会って本当によかった。

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