ネーミングの再考
皮を剥ぐから「カワハギ」。針が千本あるので「ハリセンボン」。命名は特徴や見た目に由来することがほとんでしょう。しかし、名前に惑わされてはいないでしょうか。
「ハリセンボン」は文字通り、針のような棘が1000本ほどある外見に由来しています。しかし、実際に数えてみると350本程度らしい。これは、誤差の範囲ではありません。
稲垣栄洋さんの著書「弱者の戦略」をもとに、名前の裏側に焦点を当ててみます。ここでは、「ナマケモノ(怠け者)」と呼ばれる動物に注目します。ナマケモノの睡眠時間は1日に20時間以上、移動スピードは100m/h。体にコケが生えるほどのスローペースです。
生存戦略という観点では別の側面が見えてきます。このスローペースが肉食動物から身を防ぎます。また、哺乳類の中では珍しい変温動物なのです。体温維持をしないことで基礎代謝によるエネルギー消耗を徹底的に抑えています。エネルギー消費量の少なさゆえ、エサはわずかな量で済みます。そのうえ、毒のある木を食べるので他の動物と競う必要がありません。怠けているのではなく、一歩先をゆく省エネ対策に成功しているのです。
弱者の戦略
稲垣 栄洋 ・著
2014/6/27
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