サーフィン

マイク・パドル・興味──異なる世界に共通する「入口」の考察

オーディオシステムの中で、マイクは音の入口となります。私たちが耳にする音や声、演奏などは、まずマイクによって拾われ、それが録音や拡声、伝達といったプロセスにつながっていきます。つまり、マイクは「音を捉える最前段」と言える存在です。しかし、マイクはただ音を拾えばよいというものではありません。どんな環境で、何を、どのように録るのかといった目的や条件を理解したうえで、その意図に合ったマイクを選定する必要があります。音響システム全体を見渡しながら最適な入口を設計することで、音質も、表現の力も大きく変わってきます。入口をどう設けるかが、サウンドクオリティを大きく左右します。

この「入口」という考え方は、サーフィンにも通ずるのではないでしょうか。サーフィンにおける入口を考えてみます。私が考えるに、それは「パドル」です。パドルとは、波に向かって自らの腕で漕ぎ、波に乗るためのポジションへと身体を運ぶ動作です。海に浮かび、波を待つ中で、自分が乗るべき波を見極めたら、サーファーは海をかきわけ、波に同調するよう速度を合わせます。このパドルを疎かにすると、いい波が来ても、それに乗ることはできません。 波は、自ら動かなければ捉えることができない対象です。サーフィンにおいて波は受動的に与えられるものではなく、パドルという能動的なアクションを通じて、自ら掴みにいく必要があります。どんなに完璧なタイミングでも、しっかりパドルしなければ波に置いていかれてしまいますし、力みすぎてもタイミングを逸します。つまり、サーフィンの本質的な入口とは「波に向かって自ら漕ぎ出すこと」、すなわちパドルだと考えます。

さて、ビジネスにおいての入口とは何でしょうか。私はそれを「興味」だと考えます。ビジネスは多くの場合、企画や商品、サービスといった形で現れますが、その出発点には常に「人の興味」があります。自分が何かに興味を持ったとき、あるいは他者の興味を引きつけたとき、そこからビジネスの可能性が生まれます。どれほど優れた製品やサービスであっても、興味を持たれなければ人に届きません。 また、自分においても、何かに強く興味を抱いた瞬間から、学びや行動、創造のプロセスが始まります。興味がなければ深く考えることも、行動を起こすこともできません。まさに興味は、能動的な「心のパドル」と言えるでしょう。サーフィンにおいて波を捉えるにはパドルが必要なように、ビジネスにおいて価値を捉えるには「興味」というエネルギーが必要なのです。逆に言えば、興味を起点にしたビジネスは、その後の展開や成長の可能性も大きくなると考えます。

マイク、パドル、興味。まったく異なる分野に見えるこれら三つの要素は、いずれも「入口」という視点で見ると、本質的な共通点を持っています。マイクは音を拾う入口、パドルはサーフライフへの入口、そして興味は価値創造の入口です。それぞれの場面で、入口をどう捉えるか、どのように環境や状況に向き合うかが、その後の成果や体験の質を決定づけます。入口をただの通過点とせず、本質的なはじまりとして捉えること。入口に意識を向けることで、私たちの行動や選択、そして結果は、大きく変わっていくのではないでしょうか。  

 

 

 

 

マイクについて

マイクは音(空気振動)を電気信号に変換する役割を持っています。

マイクの分類

マイクは主に4つの種類に分類されます。

1.ダイナミックマイクロフォン

フレミング右手の法則を用いたマイクロフォンのことです。 音を振動板の振動により電磁誘導を発生させて電気信号に変換させます。

ダイナミックマイクロフォンの分類

ダイナミックマイクロフォンは2つに分類されます。

  1. ムービングコイル型:大音量でも歪みにくいのが特徴です。電源が不要です。
  2. リボン型 :高域にも強く、広い周波数帯域を収録できます。
2.コンデンサマイクロフォン

音を静電容量の変化としてを取り出し、電気信号に変換させるマイクロフォンのことです。 一般的に直流電圧(ファンタム電源48V)をかけて使用します。 比較的平坦な周波数特性を持っているため、計測用としても用いられています。 その他に素子自体が電荷をもっているエレクトレットコンデンサマイクロフォンがあります。 さらにこの基本構造を半導体上で実現させたシリコンマイクロフォン(MEMS技術)があります。

3.圧電マイクロフォン

圧電効果、ピエゾ効果の動作原理を用いたマイクロフォンのことです。 音(振動)を圧電素子の変形として電気信号に変換させます。 小型かつ低コストですが、周波数特性にはバラつきあります。

4.光マイクロフォン

光を使って音(振動)を検出するマイクロフォンのことです。 光電素子により電気信号に変換させます。 現在ではコスト、サイズ、精度調整などが課題です。

マイクの特性

マイクの特性は主に4つに分類されます。

1.入力感度

入力感度とは、ある音の入力に対してどのくらい出力できるか(利得が稼げるか)を表したものです。 1Paの音圧が出力1Vであるときに0dBとしています。

2.周波数特性

周波数特性とは、マイクロフォンの入力周波数の感度変化を表したものです。 グラフでは横軸に周波数をとり、縦軸に1kHzでの出力を0dBとした感度をとっています。 基準周波数(1kHZ)と同じ感度を持っている範囲がそのマイクロフォンの扱える周波数範囲です。

3.指向性(指向特性)

指向性とは、音の到来方向による感度変化を表したものです。 マイクロフォンによって収音範囲は様々で、均一的に収音するものや、ある特定の方向からの音をを収音するものなどがあります。 指向性をグラフにしたもの(ポーラーパターン)では、0°が正面、90°が右方向というように角度と方向の関係性を示しています。 (マイク中心からの距離が感度を示しています)

4.ダイナミックレンジ

ダイナミックレンジとは、そのマイクロフォンが取り扱えるMIN値とMAX値の幅を表したものです。 最小値と最大値の比率を表します。(dB表記)

マイクの指向性

マイクの指向性は主に3種類に分類されます。

1.無指向性 (Omnidirectional)

無指向性のマイクロフォンはすべての方向から同じ感度で収音します。

2.単一指向性 (Unidirectional)

単一指向性のマイクロフォンは一方向からの感度が高いのが特徴です。 単一指向性の中でもいくつかの種類に分類されます。

2-1.ワイド/サブカーディオイド (Subcardioid)

ワイドカーディオイド(サブカーディオイド)はワイドでナチュラルな収音できるのが特徴です。

2-2.オープンカーディオイド(Open cardioid)

オープンカーディオイドはワイドカーディオイドとカーディオイドの中間に位置する指向性を持っています。

2-3.カーディオイド (Cardioid)

カーディオイドは単一指向性の中で一般的なものとなります。 正面からの音に対して最も感度が高く、背面からの音に対して最も感度が低くなります。

2-4.スーパーカーディオイド(Supercardioid)

スーパーカーディオイドは、カーディオイドよりもピックアップできる角度が狭くなります。 横からの音は遮断し、背面からの音に対しては少し感度が高くなっています。

2-5.ハイパーカーディオイド(Hypercardioid)

ハイパーカーディオイドはスーパーカーディオイドをさらに特徴づけたもので、 側面からの音の遮断に優れ、背面に対する感度もさらに高くなっています。

3.双指向性(Bidirectional)

双指向性はフィギュア8とも呼ばれます。 正面と背面からの音に対して同等の感度を持ちます。 向かい合った2つの音源を収音したり、音源に囲まれた中から1つの音を拾い上げるのに有効です。   マイクロフォンの特性についてはこの他にS/N比(信号対雑音比)や最大入力許容音圧などがあります。

ステレオマイキングの方式について

ステレオの録音のセットアップ方式は主に6つに分類されます。

1.AB方式

AB方式は無指向性マイクロフォンを並行に設置することで音の広がりをもたせる方式です。 モノラルには適していません。

2.XY方式

XY方式は指向性のある同じ2本のマイクロフォンを上下に重ねて設置する方式です。 AB方式に比べて、音の広がりは弱くなるかもしれませんが、音の方向性に対しては安定したイメージをもたせる事ができます。

3.ORTF方式

ORTF方式は2本のカーディオイドマイクロフォンをマイク間隔を17cm、開き角度を110°に設置する方式です。 このマイクの間隔は人間の耳の間の距離を想定しています。

4.DIN方式

DIN方式はカーディオイドマイクロフォンをマイク間隔を20cm、開き角度を90°に設置する方式です。

5.NOS方式

NOS方式はカーディオイドマイクロフォンをマイク間隔を30cm、開き角度を90°に設置する方式です。

6.MS方式

MS方式はカーディオイドマイクロフォンをマイク中央(ミッド)に設置し音源方向に向け、 双指向性のマイクロフォンをサイドマイクとして設置する方式です。 ミッドマイクはモノラル収音をし、サイドマイクは位置や周囲の空間を収音します。

-サーフィン

© 2025 Kabocha blog Powered by AFFINGER5