サーフィン

波の音を持ち歩くために

私はサーフィンが大好きです。波の音を聞くと、心がワクワクします。日々、「どうすれば、あの海の音をもっと近くで感じられるかな?」と考えています。この気持ちを伝える前に、まずは「音」のお話を少しだけさせてください。みなさんは「いい音」って、どんな音だと思いますか?

私はスピーカーやイヤホンなど、音を出す機械(音響機器)は、本来なくてもいいものだと思っています。人の声や雨の音は、機械を使わなくても、自然に私たちの耳に届きますよね?でも、もし機械がなかったら、遠く離れた人に声を届けたり、たくさん楽器が合わさった音楽の中で、一つ一つの音をバランスを取ったり、歌っている人の気持ちを多くの人に伝えたりすることができません。だから、音を出す機械は手段として大事な役割があるんです。

「いい音」の感じ方は、人それぞれ違います。お腹にズンと響くような迫力のある音が好きな人もいれば、透き通るようにきれいな繊細な音が好きな人もいるでしょう。私が思う「いい音」というのは、結局のところ、「本物の音にどれだけ近いか」ということです。例えば、コンサートホールにある大きなグランドピアノ(88鍵)を想像してみてください。基本的にコンサートホールでは、機械を使わずにホール(部屋)そのものを響かせて、お客さんに音を届ける工夫が散りばめられています。ここで演奏されて耳に届くピアノの音が、マイクやスピーカーを使わない、本物の音(生音)です。

例えば、違う場所でこのピアノにマイクとスピーカーをセッティングしたとします。88個あるピアノの鍵盤を一つずつ鳴らしたとき、音量を上げても一音一音が違和感なく聴こえれば、それが私にとっての「いい音」(もちろん本物の音の方がいい音ですが。)です。良いものをそのまま良いものとして、素直に伝えることが良いものだと思います。

しかし、音を出す機械で追い求める「いい音」は、「本物の音」というゴールにどんどん近づきはしますが、たどり着くことはできません。どんなにいいマイクで音を拾っても、どんなにいいコンピュータで音を加工しても、どんなに高いスピーカーで音を出しても、それはあくまで「いい音」で「生音」ではありません。どんなにいい機械を使っても、本物を完璧に再現するのはすごく難しいんです。

私にとって「唯一無二の音」は、やっぱり海の音です。テトラポットにぶつかって砕ける波の音、砂浜を優しく洗う波の音、遠くの沖でブレイクする波の音、サーフィン中に間近で聴こえる波の音。これらすべての音は、私をリラックスさせ、同時に奮い立たせてくれる、他に代えがたい特別な音です。

波の音をスピーカーから流すと、確かに心が落ち着いたり、胸がドキドキすることもありました。疲れたら穏やかな波音で癒され、ときに強風まじりの波音で自分を奮い立たせる。波の音が、自分自身を支えてくれるのは間違いありません。

でも、先ほどのピアノのお話のように、「本物」に近づきはしても、決して「本物そのもの」にはなれません。なぜなら、実際は音だけではなく、その場所にいることでしか味わえない「体験」があります。機械だけでは、これにはかないません。

「いい音」を求めて音を出す機械を追求するのも、それはそれで面白いと思います。でも、もしあなたが私と同じように「波の音」に触れて、その音に魅了されているならば、とにかく海へ足を運びましょう!その体験こそが、あなたの心に深く刻まれ、いつかスピーカーから波の音を聞いたとき、その違いがわかり、より良い機械(音響機器)を選べるようになっているはずです。

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