サーフィン

海と私とボールペン

毎日使うものほど、無意識のうちに生活の一部となっていきます。たとえばボールペン。選ぶときはまず、書き心地や持ちやすさなどの機能を重視し、次に価格やデザインのバランスを考えて決めることが多いでしょう。しかし、私はある一本のボールペンを通じて、機能以上に「コンセプト」がモノの価値を左右することに気づきました。

そのペンはパイロットの「RAIZ(ライズ)」です。頭冠回転繰り出し式で、地球儀の緯度線・経度線を模した彫刻が施されています。深みのあるオーシャンブルーのグラデーションにガラスフレークの光沢が加わり、見るたびに心が惹きつけられます。もちろん、書き味も申し分ありません。

私が特に感銘を受けたのは、その名前に込められたメッセージです。「RAIZ」は「Horizon(水平線)」と「Raise(上昇)」を掛け合わせ、自分の可能性を追求する人になってほしいという願いが込められています。このペンを手にするたび、私は海の水平線と自分の可能性を重ね合わせます。ただの筆記用具ではなく、インスピレーションを呼び起こす存在となったのです。

この体験から、コンセプトの力は無視できないと感じました。コンセプトは、技術やデザインだけでなく、「なぜこの形なのか」「どんな体験を届けたいのか」という作り手の設計思想と哲学を内包しています。権威性やネームバリューとは異なる、モノの価値感が「コンセプト」にはあります。

ボールペンを通じて、あらゆるプロダクトやサービスには、この「コンセプト」が宿っていることに気づきます。製品の裏には、開発者や販売者、技術者など多くの人々の想いが込められています。その背景を想像することが、使い手の体験を豊かにしてくれます。私たちが何かを創る側の立場になったときも、コンセプトは重要な出発点となるでしょう。

機能だけでなく、“物語”が日常に小さな変化をもたらす。RAIZはそんな気づきを私に与えてくれた1本です。

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