「裏社会」という言葉を聞いて、どんなイメージを抱くでしょうか。多くの人は、社会の表舞台から隠れた、非合法な活動が行われる世界を想像するかもしれません。しかし、私はこの「裏」という概念を、もっとポジティブに捉え直してみたいと思います。なぜなら、表だけを見るのではなく、その裏側にこそ、新たな発見や価値が隠されていると思うからです。
私がこの考えを深めたのは、サーフィンでの経験がきっかけでした。ある日、海で波を待っていると、隣のサーファーが素晴らしいライディングを披露しました。沖側にいる私に向かって、そのサーファーが波のトップでサーフボードの裏側を見せるように突き抜けた瞬間、私はその力強さと美しさに心を奪われ、「こんなサーフィンがしたい」と強く感じました。この光景は、私にとって大きな目標となりました。
また、サーフィンには、波の「裏」という言葉があります。沖に大きな波(セット)が入ってくると、そこにいる全員がその波を狙おうとします。しかし、みんながその波に気を取られているとき、その次の波、つまり「セットの裏」にある波が、誰にも邪魔されず、最高の状態でやってくることがあるのです。
このサーフィンの経験は、私に大切な教訓を教えてくれました。それは、多くの人が注目する「表」だけではなく、その「裏側」にこそ、独自の価値やチャンスが隠されているということです。
稲垣栄洋(著)の「弱者の戦略」では、「裏」道を選ぶことの重要性が指摘されています。バイパス(高速道路)は快適で便利ですが、誰もが同じように考えるため、やがて大渋滞が起こります。一方、あえて条件の悪い「裏道」を選ぶことは、一見非効率に見えて、実は渋滞を避けるための極めて戦略的な選択です。
私たちは、目に見えるものやわかりやすい情報にばかり意識を向けがちです。しかし、本当に価値ある洞察や成長へのヒントは、その「裏側」にこそ隠されているのではないでしょうか。多くの人が見ようとしない部分に目を向け、その真実に迫ることで、私たちは新たな価値を発見し、より豊かな生活を送ることができるはずです。