サーフィン

視線を揃えること

林修さんの著書「今すぐやる人になる40の習慣」で、受験生に視線の大切さについては非常に興味深い内容でした。勉強が苦手な人は、問題に取り組む際に視線を切るタイミングが早いという指摘は、まさに核心を突いていると感じます。この視線の重要性は、試験だけでなく、サーフィンにおいても共通するのではないでしょうか。私自身の視線に関する考えを述べさせていただきます。

私は、視線が向かう先は、身体重心の将来的な位置を予測するサインだと捉えています。人は意識的であろうと無意識的であろうと、見ている方向に体を進めようとする傾向があると思います。これは、視覚情報が体の姿勢制御や運動計画に大きく影響すると考えるからです。体の方向付けにおいては、視覚から得た情報を使って、体を適切に動かす能力が働き、体とボードを進行方向や波のセクションに自然とアラインさせる役割を果たします。また、重心制御では、頭の位置を適切に保ち、重心の安定性を高めるとともに、波の動きに対応した効率的な荷重/抜重連動が行われると考えられます。

そこで、意識的に「サーフボードの向かう先と自分の視線を一致させる」ことが重要だと仮説を立てています。サーフィンが上手な人ほど、視線は常にボードの進む方向の延長線上にあると感じます。彼らの視線に導かれ、まるでサーフボードの先端が追従しているようにみえます。一方、サーフィン初心者は、視線が定まらず、足元や目の前しか見ていないことが多いようです。そのため、次に波がどう変化するかを予測できず、サーフボードを移動させたい位置に運ぶ動作が遅れてしまいます。上級者が波の斜面を滑り降りるだけでなく、波の頂点(リップ)に当てたり、素早く方向転換(カットバック)したりといった華麗な技を繰り出せるのも、この視線とボードの連動性が無意識のうちに行われているからだと思います。

最後に、視線に関するもう一つの興味深いトピックとして、サルバドール・ダリが描いた「窓辺の少女」を紹介したいと思います。ダリはシュルレアリスムを代表する画家として知られますが、この作品はそれとは対照的に、彼の純粋な描写力と心理的な側面を表す貴重な作品です。絵のモデルである、窓から海を眺める女性はダリの妹、アナ・マリアです。この絵では、ダリの描いている構図(目線)とモチーフであるアナ・マリアの視線は、同じ行先を向いています。そして、この絵を鑑賞する私たちもまた、彼女の視線のその先を自然と想像するに違いありません。つまり、ダリ、アナ・マリア、そして鑑賞者である私の視線の先が、まるで同一線上につながっているかのように感じるのです。

サーファーが「波の先」を読むように、あなたの『視線の先』は、豊かな未来のために何を描きますか?

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