マイクについて
マイクは音(空気振動)を電気信号に変換する役割を持っています。
マイクの分類
マイクは主に4つの種類に分類されます。
1.ダイナミックマイクロフォン
フレミング右手の法則を用いたマイクロフォンのことです。 音を振動板の振動により電磁誘導を発生させて電気信号に変換させます。
ダイナミックマイクロフォンの分類
ダイナミックマイクロフォンは2つに分類されます。
- ムービングコイル型:大音量でも歪みにくいのが特徴です。電源が不要です。
- リボン型 :高域にも強く、広い周波数帯域を収録できます。
2.コンデンサマイクロフォン
音を静電容量の変化としてを取り出し、電気信号に変換させるマイクロフォンのことです。 一般的に直流電圧(ファンタム電源48V)をかけて使用します。 比較的平坦な周波数特性を持っているため、計測用としても用いられています。 その他に素子自体が電荷をもっているエレクトレットコンデンサマイクロフォンがあります。 さらにこの基本構造を半導体上で実現させたシリコンマイクロフォン(MEMS技術)があります。
3.圧電マイクロフォン
圧電効果、ピエゾ効果の動作原理を用いたマイクロフォンのことです。 音(振動)を圧電素子の変形として電気信号に変換させます。 小型かつ低コストですが、周波数特性にはバラつきあります。
4.光マイクロフォン
光を使って音(振動)を検出するマイクロフォンのことです。 光電素子により電気信号に変換させます。 現在ではコスト、サイズ、精度調整などが課題です。
マイクの特性
マイクの特性は主に4つに分類されます。
1.入力感度
入力感度とは、ある音の入力に対してどのくらい出力できるか(利得が稼げるか)を表したものです。 1Paの音圧が出力1Vであるときに0dBとしています。
2.周波数特性
周波数特性とは、マイクロフォンの入力周波数の感度変化を表したものです。 グラフでは横軸に周波数をとり、縦軸に1kHzでの出力を0dBとした感度をとっています。 基準周波数(1kHZ)と同じ感度を持っている範囲がそのマイクロフォンの扱える周波数範囲です。
3.指向性(指向特性)
指向性とは、音の到来方向による感度変化を表したものです。 マイクロフォンによって収音範囲は様々で、均一的に収音するものや、ある特定の方向からの音をを収音するものなどがあります。 指向性をグラフにしたもの(ポーラーパターン)では、0°が正面、90°が右方向というように角度と方向の関係性を示しています。 (マイク中心からの距離が感度を示しています)
4.ダイナミックレンジ
ダイナミックレンジとは、そのマイクロフォンが取り扱えるMIN値とMAX値の幅を表したものです。 最小値と最大値の比率を表します。(dB表記)
マイクの指向性
マイクの指向性は主に3種類に分類されます。
1.無指向性 (Omnidirectional)
無指向性のマイクロフォンはすべての方向から同じ感度で収音します。
2.単一指向性 (Unidirectional)
単一指向性のマイクロフォンは一方向からの感度が高いのが特徴です。 単一指向性の中でもいくつかの種類に分類されます。
2-1.ワイド/サブカーディオイド (Subcardioid)
ワイドカーディオイド(サブカーディオイド)はワイドでナチュラルな収音できるのが特徴です。
2-2.オープンカーディオイド(Open cardioid)
オープンカーディオイドはワイドカーディオイドとカーディオイドの中間に位置する指向性を持っています。
2-3.カーディオイド (Cardioid)
カーディオイドは単一指向性の中で一般的なものとなります。 正面からの音に対して最も感度が高く、背面からの音に対して最も感度が低くなります。
2-4.スーパーカーディオイド(Supercardioid)
スーパーカーディオイドは、カーディオイドよりもピックアップできる角度が狭くなります。 横からの音は遮断し、背面からの音に対しては少し感度が高くなっています。
2-5.ハイパーカーディオイド(Hypercardioid)
ハイパーカーディオイドはスーパーカーディオイドをさらに特徴づけたもので、 側面からの音の遮断に優れ、背面に対する感度もさらに高くなっています。
3.双指向性(Bidirectional)
双指向性はフィギュア8とも呼ばれます。 正面と背面からの音に対して同等の感度を持ちます。 向かい合った2つの音源を収音したり、音源に囲まれた中から1つの音を拾い上げるのに有効です。 マイクロフォンの特性についてはこの他にS/N比(信号対雑音比)や最大入力許容音圧などがあります。
ステレオマイキングの方式について
ステレオの録音のセットアップ方式は主に6つに分類されます。
1.AB方式
AB方式は無指向性マイクロフォンを並行に設置することで音の広がりをもたせる方式です。 モノラルには適していません。
2.XY方式
XY方式は指向性のある同じ2本のマイクロフォンを上下に重ねて設置する方式です。 AB方式に比べて、音の広がりは弱くなるかもしれませんが、音の方向性に対しては安定したイメージをもたせる事ができます。
3.ORTF方式
ORTF方式は2本のカーディオイドマイクロフォンをマイク間隔を17cm、開き角度を110°に設置する方式です。 このマイクの間隔は人間の耳の間の距離を想定しています。
4.DIN方式
DIN方式はカーディオイドマイクロフォンをマイク間隔を20cm、開き角度を90°に設置する方式です。
5.NOS方式
NOS方式はカーディオイドマイクロフォンをマイク間隔を30cm、開き角度を90°に設置する方式です。
6.MS方式
MS方式はカーディオイドマイクロフォンをマイク中央(ミッド)に設置し音源方向に向け、 双指向性のマイクロフォンをサイドマイクとして設置する方式です。 ミッドマイクはモノラル収音をし、サイドマイクは位置や周囲の空間を収音します。
私のお気に入り
ダイナミックマイク
コンデンサーマイク スモールダイアフラム
ショットガンマイク