サーフィンでは想像力が要となります。なぜならサーフィンは常に変動要因となる自然の中で行われるため、反復練習が極めて困難だからです。多くのサーファーが波の状況に合わせて意識的に判断していますが、それではどうしても動きがワンテンポ遅れたり、ぎこちなさが生じてしまいます。上級者のようなライディングをするためには、意識的な思考を挟まず、身体が無意識的に反応するレベルに到達する必要があります。
ここでは「コンピテンスの4段階」を紹介します。
「コンピテンスの4段階」とは個人が知識を学び、その知識を能力として発揮できるまでの学習プロセスを4段階に分類したモデルのことです。
コンピテンスの4段階
無意識的無能(知らない、できない)
サーフィンをどうすればよいか全く想像がつかない状態です。自分が何を知らないのかにすら気づいていない、サーフィン初心者に当たります。
意識的無能(知ってる、できない)
波に乗りたいけれど上手く乗れない、自分のスキル不足を認識し、方法が分からず試行錯誤している状態です。サーフィンの難しさに気づいた初心者と言えるでしょう。
意識的有能(意識すればできる)
考えて努力することでスキルが発揮できる状態です。集中力やエネルギーを必要としますが、少しずつ波に乗れるようになってきた中級者がこの段階に当たります。
無意識的有能(無意識にできる)
身体が無意識的に反応し、自然にスキルが発揮される状態です。パフォーマンスが安定し、まさにサーフィン上級者のレベルです。
一般的に意識的有能から無意識的有能へステップアップするためには反復練習が必要不可欠となります。しかし、前述の通りサーフィンでは同じ波が2度と訪れることはなく、物理的な反復練習は非常に困難です。だからこそ、サーフィンの再現性を高めるためには、脳内で理想のライディングを思い描くしかないと思うのです。
では、「理想」のライディングとは何なのでしょうか?「理想」とは、自分にとっての「正しさ」や「美しさ」のことです。この「正しさ」、「美しさ」に絶対的な答えはありませんが、自分にとってそれがどうやら正しそうだ、美しそうだと判断するためには「感性」を育てることです。
「美しい」と思えるものとの出会いは運かもしれませんが、今、自分にできることを一所懸命にやっていくしかないと思います。