サーフィン

「波乗り」適職診断

誰もが感じる仕事のストレス。その原因は、大きく分けて3つの要素に分けられると思います。1.人間関係、2.環境、3.適性です。
これら3つは密接に跨ぎ合い、相互に影響し合っています。例えば、上司との相性(人間関係)が日々の職場での居心地の悪さ(環境)につながり、結果として「この仕事は自分には向いていないのかもしれない」(適性)と感じてしまうことはありませんか?どんなにやりがいのある仕事でも、「誰と働くか」「どこで働くか」は、想像以上に重要な要素です。
しかし、人間関係や環境は、私たちの力だけではコントロールが難しい側面があります。人の気持ちは移ろいやすく、完全に理解することは困難です。また、複雑な組織構造の中で環境を変えるのは、膨大な時間と労力がかかります。物理的に距離を取るか、あるいは自ら環境を移す(例:部署異動や転職)といった選択肢しか現実的には難しい場面もあるでしょう。
そんな中で、私たちが唯一、そして積極的に働きかけられる領域があります。それが「適性」、つまり自己理解を深めることだと私は考えます。

仕事における適性を考える上で、私はこれまで様々な適性診断ツールを用いて自己理解を深めようとしてきました。例えば、ストレングスファインダーでは、「回復志向」や「学習欲」といった特性が上位に挙がりました。これにより、私は問題解決に粘り強く取り組み、新しい知識を貪欲に吸収することに喜びを感じる傾向がある、という自己理解を得られました。これらの診断は、漠然と感じていた特性に「言語」を与えてくれる点で非常に有益でした。「自分にこんな特性があるのか」と頭では理解でき、内省を深めるきっかけになったのは確かです。しかし、それだけでは「腑に落ちる」までには至りませんでした。どこか抽象的で、日々の仕事で直面する具体的な行動や感情とどう結びつけたらいいのか、明確な指針が見えず、物足りなさを感じていたのです。そして、この物足りなさを解消し、身体感覚を通じて「腑に落ちる」まで自己理解を深められたのは、意外にも趣味のサーフィンがきっかけでした。適性診断ツールが理性的な解釈だとすれば、サーフィンはまさに五感を通して自己対話する機会を与えてくれたのです。

サーフィンは、私にとって単なる趣味以上のものです。仲間と波を分かち合う喜び、自然と一体になる感覚、大きな波に挑むスリル、技を磨き上達する過程――その目的は人それぞれですが、私にとっては何よりも「今までできなかったことができるようになったとき」、「新しい発想が生まれたとき」、そして「知らない自分に出会えたとき」に深い喜びを感じます。この経験から、私は仕事においても以下のような特性を強く求める傾向にあると解釈しています。

成長感: 新しいことに挑戦し、自身のスキルや能力が向上することに喜びを感じます。波に上手く乗れた充足感は、仕事で問題解決できたときの感覚と重なります。

納得感: 与えられた仕事をこなすだけでなく、自分自身が納得できる形で物事を進めたいと思います。サーフィンの上達について、波の状況や自分で仮説を立て、失敗も自己責任であることにこだわる。この経験が、私の主体的な仕事の進め方に繋がっています。

改善意欲: 同じ過ちを繰り返すことには憤りを感じやすく、改善策を模索しようとします。以前上手く乗れた波と似たような場面で失敗してしまったりすると、なぜ失敗したかを考察します。この姿勢が、仕事で非効率な業務プロセスを改善する原動力となっていると思います。

もちろん、自分の望むすべてが完璧に揃った理想の職場は、現実には存在しません。だからこそ、大切なのは自分なりの許容範囲と妥協点を見定めることだと考えています。会社員として働く以上、自分のすべてを仕事に捧げようとすると、摩擦が生じたり、かえって心身のバランスを崩したりする可能性もあるからです。例えば、私がサーフィンを心から楽しめているのは、それが趣味であり、生活のすべてではないからです。もしサーフィンだけで生計を立てようとすれば、きっと純粋な楽しさは薄れ、何かバランスを失ってしまう気がします。この気づきは、今の職場での働き方にも通じています。無理に現状を乗り越えようとするのではなく、刻々と変化する波の動きを見極めるように、目指す方向を見据えつつ、目の前の状況に柔軟に対応する。まるでサーフィンのような感覚で「波を乗りこなす」働き方を意識しています。

忘れてはならないのは、自己理解や適性は、人生のフェーズや経験によって常に変化していくということです。一度行えば終わりというものではなく、人生の様々な局面で向き合い、上手に付き合っていくことが必要だと考えています。私の場合、この先のサーフィンの楽しみ方に変化があったそのとき、適性や自己理解にも変化が生じることでしょう。読者の皆様が自身の理想の働き方を見つける一助となれば幸いです。

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