三本の矢、三位一体、三度目の正直、三人寄れば文殊の知恵…。なぜか生活に根付いている「3」という数字。今回は「3」をテーマにしたいと思います。
まずは海洋環境保全の基本原則、「3R」を再認識しましょう。
・Reduce(リデュース)・・・海洋プラスチックごみの最大の原因となる使い捨てプラスチック製品、例えばペットボトルやビニール袋の使用を減らすこと。
・Reuse(リユース)・・・繰り返し使える道具や器材を選び、大切に長く使うこと。
・Recycle(リサイクル)・・・使用済みの釣り具、漁網、マリンスポーツ用品などを適切に分別し、資源として再利用に協力すること。
この「3R」は、海やマリンスポーツにおける環境保全活動の基盤となる、極めて重要な考え方です。
実は、私たちの周りには「3」という数字が溢れています。じゃんけんの3すくみ、交通信号機の3色、オリンピックメダルの金・銀・銅。野球の3ストライク3アウト、サッカーのハットトリック、バスケのスリーポイントシュート。カメラの三脚も「3」の原理に基づいています。時間を「過去、現在、未来」に分類したり、論理的思考の基本である「三段論法」も「3」の構造を持っています。
この「3」の安定性を特に象徴するのが、「三角形」です。三角形は、3つの辺の長さが決まればその角度も自動的に定まるという**「剛性」**を持つため、外部からの力に対して極めて変形しにくいという幾何学的・構造的な特性があります。
例えば、同じ辺の長さでも簡単に形を変えられる四角形とは異なり、三角形は形が崩れにくく、非常に安定しているのです。この特性は、東京スカイツリーや橋、クレーン、自転車のフレームなど、私たちの身近な建築物や構造物にも応用されています。特に、三角形を基本単位として部材を組み合わせる「トラス構造」は、細い部材でも大きな力を支えることを可能にし、効率的かつ丈夫な構造を生み出しています。
サーフィンにまつわる「3」といえば、やはりトライフィンでしょう。サーフボードの裏側に付いている3枚のフィンは、波の上でボードをまっすぐに安定させつつ、自由自在に曲がるための「舵」の役割を果たす、非常に重要なパーツです。サーフボードのフィンには、1枚の「シングルフィン」、2枚の「ツインフィン」や4枚の「クアッドフィン」などの種類があります。しかし、世界中の多くのサーフボードでトライフィンが採用されているのは、直進する安定性と、波の上で向きを変える操作性の両方を最高のバランスで両立できるためです。シングルフィンは直進性が高いもののターンがしにくく、クアッドフィンはスピードが出やすい反面、コントロールが難しいと一般的に言われています。あらゆるレベルのサーファーが、どんな波のコンディションでも安定して乗りこなし、思い通りの動きができるよう、トライフィンが最適なバランスを提供していると言えるでしょう。
このように、「3」という数字が持つ要素は、ある特定の状況下で最も効果的かつ安定した状態を生み出すために選ばれてきました。例えば、もし今お使いのサーフボードのフィンをあえて2枚や1枚、あるいはフィンなしを経験してみれば、トライフィンがいかにバランスに優れているかをより深く理解できるはずです。「3」という数字は多くの場面で調和の取れた状態を示します。この「3」という視点は、私たちの日常生活にも応用できるのではないでしょうか。何か複雑な問題を解決しようとする時、「3」の思考で整理してみることで、バランスの取れた最適解を見出すヒントになるかもしれません。