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海、学びの循環

私たちは「サイクル」の中で生きています。
日々の生活において、「また同じことの繰り返しか」と感じる瞬間はありませんか?
しかし、私たちの暮らしを注意深く見つめると、そこには“ただの繰り返し”ではない、「サイクル(循環)」という力が流れていることに気づきます。

朝が来て、夜が来る。雨が降って、また晴れる。
人は失敗し、そこから何かを学び、次に活かす。
こうした動きの背後には、「戻る」のではなく「進む」ためのサイクルが存在しています。

今回は、「学びのサイクル」と「自然の水循環」という二つの視点から、この目に見えにくいけれど重要な“サイクルの本質”に迫っていきます。

はじめに学びのサイクルを紹介します。
心理学者デイヴィッド・コルブが提唱した経験学習モデルでは、人が経験から学ぶ過程を4つのステップで説明します:

1.具体的経験(やってみる)

2.省察的観察(振り返る)

3.抽象的概念化(理論にまとめる)

4.能動的実験(新しく試す)

このサイクルを回すたびに、私たちは経験を知識へと昇華させ、それを次の挑戦に活かしていけるのです。

また、人にはこの4段階のどこを重視するかで学び方の傾向(発散型・同化型・収束型・適応型)があります。

発散型は、具体的な経験と内省的な観察を重視します。
同化型は、内省的な観察と抽象的な概念化を重視します
収束型は、抽象的な概念化と能動的な実験を重視します。
適応型は、能動的な実験と具体的な経験を重視します。

これは教育現場やビジネス、チーム育成にも応用されています。

一方で、より実践的かつ感情に寄り添う学びのモデルが、ギブスの省察サイクルです。
これは看護や教育の分野で広く使われており、以下の6ステップで構成されます:

1.何が起きたか(Description)

2.何を感じたか(Feelings)

3.何が良く、何が悪かったか(Evaluation)

4.なぜそうなったか(Analysis)

5.他にできたことは?(Conclusion)

6.次にどうするか(Action Plan)

このモデルの特徴は、「感情」と「次の行動」に焦点を当てていること。
失敗の意味を分析するだけでなく、「どう感じたか」「次は何をするか」に向き合うことで、反省は学びへ、そして行動の原動力へと変わります。

人間の学びと並行して、地球にも壮大なサイクルが存在します。
その代表例が、「水の循環」です。

水循環の流れ(簡略的)
1.蒸発:海や湖の水が水蒸気になる

2.凝結:冷やされて雲になる

3.降水:雨や雪として地表に戻る

4.流出・浸透:川や地下水へ流れる

5.蒸散:植物から再び大気へ

6.再び蒸発へ…

このサイクルは、太陽エネルギーに支えられて、止まることなく回り続けています。
そして驚くべきことに、地球にある水の総量は約46億年ほとんど変わっていないと考えられています。
つまり、あなたが今飲んでいるその水は、かつて恐竜が飲んでいた水かもしれません。

理想的な水の循環では、1リットルの水がサイクルを回って、また1リットルに戻る。
しかし、実際には100%元通りにはなりません。

循環から外れる例:
・地下深くに閉じ込められる(化石水)

・氷河や極地の氷に閉じ込められる

・わずかに宇宙空間へ流出する

・人間の活動で変質する(ダム、過剰な地下水汲み上げ、汚染など)

それでもなお、地球の水の総量はほとんど減っていません。
なぜなら、水は非常に安定した物質であり、壊れにくく、供給と損失が長期的にバランスしているからです。

ただし、人間が「利用できる水」は非常に限られており、全体の0.01~0.02%程度。
その分布や状態が変化すると、私たちの生活に大きな影響を与えます。

学びも水も、100%理想通りに完璧にサイクルするわけではないということです。

ここまで、人の学びと水の循環というふたつのサイクルを見てきました。
これらに共通するのは、円運動のように「ただ繰り返すだけではない」ということです。

コルブの学習サイクルでは、経験が知恵に変わり、次のステップへ活かされていく。
ギブスの省察サイクルでは、感情が次の行動を導く力になる。
そして、壮大な水の循環が、絶えず自然を育んでいる。

「サイクル」とは、同じ場所をただ回るのではなく、成長や変化を生み出すための構造です。
私たち日常のルーティーンワークも、この意識を持つことで、未来の自分へと繋がる“成長のサイクル”へと変わっていくでしょう。

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