掘進の先には
海の底は穴だらけらしい。海底に巣穴を掘って暮らす生き物は「底生生物」と呼ばれるそうです。「底生生物」は、私たちに馴染みのある「貝・エビ・カニ」をはじめ、実に多種多様です。「穴」には魅力と謎が凝縮されているのかもしれません。
海の中に限らず、陸の世界でも巣穴をつくる生き物はたくさんいます。例えば、もぐらは土の中で生活することに特化した形態をしていますし、アリも巣窟で団体行動をしています。犬も地面も掘る習性がありますし、花や野菜だって地中へと根を張ります。生物の大半は「掘る」という行為が本能的に備わっているのかもしれません。
人間においても例外ではないはずです。人が掘ってきたものは、金銀、宝石、石炭、油田、温泉、徳川埋蔵金…と、ちょっとした連想ゲームができそうです。そして、近頃、注目されている採掘対象が海底にある「メタンハイドレート」です。「メタンハイドレート」は、解けると水とメタンガスに変化します。その姿は氷に似ていて、火を点けると勢い良く燃えるため、「燃える氷」とも呼ばれます。採掘方法や環境に対しての課題は多く、そして高く立ちはだかっていますが、次世代のエネルギー資源として期待されています。
過去から現在まで、人類は様々なものを掘り進めてきました。それによって得た恩恵と失ったものを顧みることも必要だと思います。映画「穴(1960)」を鑑賞しながら、掘ることについて考え直していきたいと思います。
海底の支配者 底生生物 世界は「巣穴」で満ちている
清家弘治・著
2020/2/10
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エネルギー革命 メタンハイドレート
松本 良 ・著
2009/5/28
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穴(1960)
Jacques Becke(ジャック・ベッケル)・監督
1960年
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