「数学的帰納法」って聞くと、なんだか難しそうですよね。私は数学の厳密さは好きかもしれませんが、得意ではありません。
教科書では、数学的帰納法は「自然数について成り立つ命題が、すべての自然数で正しいことを示す方法」と説明されています。
正直、ピンときませんよね。そこでよく出てくるのが「ドミノ倒し」の例です。
- 最初のドミノが倒れる
- さらに、「あるドミノが倒れたら、次のドミノも倒れる」
この2つが言えれば、ドミノは最後まで全部倒れるはずですよね。これが数学的帰納法です。
数学的帰納法では、以下の3つのステップを示しています。
① 最初が成り立つ
まず、「n=1 のとき命題が正しい」ことを確認します。これは最初のドミノを倒す作業みたいなものです。
② 次へ進める
次に、「n=k で成り立つなら、n=k+1 でも成り立つ」ことを示します。これは、「ドミノが1つ倒れたら、次のドミノも必ず倒れる」という“連鎖”を確認します。
③ だから全部続く
①と②が成り立てば、「すべてのドミノは倒れる(すべての自然数で成り立つ)」ということです。
そのために、①最初が正しいこと、②それが次へ続いていくこと、の2つを論理的に示します。
重要なのは、数学的帰納法は、「たまたまうまくいった経験」を集めているわけではない、ということです。
さて、ここからは数学的な対応というより、あくまで個人的な解釈です。この「数学的帰納法」を私の趣味のサーフィンに例えて考えてみます。自身のサーフィン体験に重ねて、こんなふうに考えてみました。
①. サーフィンには「正しい最初(n=1)」がない
数学では、「n=1 が正しい」という基底が最初にあります。
でもサーフィンでは、「この選択が正しくて、この道を歩めばうまくいく」ということは、与えられていません。だからこそ、「何か一つを選ぶ」という行為が重要です。
数学では「n=1 を証明する」ところから始まりますが、サーフィンではむしろ、自分だけの「n=1」を決めることからすべては始まるのだと思います。
②. 大切なのは「次へつなげること」
サーフィンをしていると、失敗の原因がわからないことがあります。波が悪かったのか、自分の技術不足だったのか。逆に、うまく乗れたとしても、「なんでうまくいったのか、本当にこれでいいのか」はわかりません。
つまり、自分の選択が正しいかは、その瞬間にはわからないのです。それでも、「次はこうしてみよう」と考え続けることはできます。
サーファーには、それぞれ異なる理論やスタイルがあります。私はその中から1人のサーファーを選び、その動作や考え方を追体験しています。
すると、少しずつ疑問が芽生えはじめます。たとえば、---「この状況で、なぜこの動作をするのか」、「この動作を再現するためには、こうすればよいんじゃないか」---。そうやって試行錯誤と自問自答を重ねながら、自分自身をアップデートしていきます。
数学での「n=k ⇒ n=k+1」が必ずそうなる仕組みだとすれば、サーフィンでは保証がない中での、経験「k」をまた次の経験につなげていく「k+1」する意志力のことだと思います。
③.「k+1」が作れれば失敗も無駄ではない
もちろん、数学とサーフィンは異なるものです。数学では1ヶ所でも誤りがあれば、その証明は成立しません。しかし、それは失敗であると同時に、新しい発見でもあります。少しだけ、サーフィンも似ているように思います。
たとえ波に乗れなかったとしても、
- 自分の決断
- 挑戦してきた時間
- 悩みながら考えたこと
- 楽しんだ思い出
これらの記憶は残ります。
そして何より「このやり方ではうまくいかない」とわかること自体が、次へ進むための燃料になります。むしろ「自分の考え方は違うとわかった」こと自体が、ひとつの発見(収穫)なのだと思います。
数学的帰納法が「正しさが次へ伝わる仕組み」を示すように、サーフィンでも私は「経験が次へつながる仕組み」を見出そうとしているのかもしれません。
私には、自分のn=1が正しいどうかはわかりません。それでも今日の経験を明日のk+1につなげることはできます。サーフィンとは、その繰り返しなのかもしれません。