「ワークライクバランス」とは何か。私はそれを、「好きなことをしながら稼ぐこと」と捉えました。私の好きなことはサーフィンです。自然を相手にするこのスポーツは、さっきまで穏やかだった海が、突然いい波へと変わることがあります。その逆もまた然りです。いつでも好きなときにサーフィンができるわけではありません。そこで問題になるのが「会社員」としての働き方です。会社員サーファーであれば波に合わせた柔軟な働き方をしたいと誰しも思うことでしょう。しかし、現実には様々なハードルがあり、「時間・お金・働き方」が三位一体で絡み合っています。私のように、時間・お金・働き方に悩む社会人サーファーに必要なものを考えてみました。
私はサーフィンをはじめてから5年以上が経ちました。サーフィンに対する「好き」はいまだに冷めません。そんなサーフィンの「どんなところ」が好きなのか深掘りしてみました。改めて考えてみたところ、その正体は「今まで出会えなかった自分と出会うこと」だと思います。できなかったことができるようになる瞬間。新しい考え方が生まれる瞬間。サーフィンで得た気づきが、日常の中でふと活きる瞬間。そこに深い喜びを感じています。また、「好き」の中身も、時間とともに変わってきました。
はじめは、海にいるだけで満たされていました。波のパワーを肌で感じること。水面に揺れる太陽の光。頭上を飛ぶウミネコの声。それだけで十分でした。
やがて、とにかくたくさん波に乗りたくなりました。体が疲れ果てるまで波を追い続け、夕陽が沈んでようやく海から上がる。何度失敗しても、もう1回、もう1回と。「波に乗る」こと自体が純粋に楽しい時期でした。そして最近は、「ただ乗れればいい」から「うまく乗りこなしたい」へと変わってきています。「好きのかたち」は変わるということもサーフィンから得た学びです。
そこで同時に気づいたことがあります。上達にはお金と時間がかかる、という当然の事実です。最新のサーフボードに買い替えたときのテイクオフの滑り出し。裏起毛のウエットスーツで真冬の海に入れるようになったこと。サーフスタジアムで自然条件に左右されず練習できたこと。遠征費、旅先の食事、温泉でのリフレッシュ。サーフィンを楽しむのに気持ちだけでは限界があると思います。私たち社会人の時間は限られています。その上に自然条件が重なる。その差を埋めるのが「お金」という選択肢です。だから時間とお金のトレードオフは常に考える必要があります。それは言い換えると、「生活を設計する力」が問われているということだと思います。
サーフボードの購入資金を作ろうと、休日にアルバイトをしてみました。お金は工面できました。でも今度は、サーフィンをする時間が無くなりました。ブログやYouTubeで稼ごうとすれば、企画力・マーケティング・表現力が求められます。何かしらで稼ごうとすると、どれも別の負荷を生み出します。波がないときに働いて、波があるときにサーフィンする。そんな自由な働き方を求めれば求めるほど、理想からどんどん遠ざかっていく気がしていました。こうした結果は頭では理解していましたが、行動したからこそ見えた景色もあります。副業を通じて新しいコミュニティに触れ、視野が広がりました。税金の知識、時間の使い方、収入の構造。「本業だけで稼ぐ」しか知らなかった自分に、新たな選択肢が増えました。
そしてあるとき、またふと気づきました。サーフィンがなかなか上達しないとき、どうすれば上手くなるかをあれこれ考え、試して、失敗して、また試す。その繰り返し自体が、サーフィンの醍醐味でした。「うまく乗れないから楽しくない」のではなく、「うまく乗れないからこそ面白い」のです。そして今、この「働き方の模索」も、同じような構成をしていました。波がないときに働いて、波があるときにサーフィンする。その理想に向かって試して、失敗し、また考える。そのプロセス自体が、すでにサーフィンそのものだったのです。だから、時間・お金・働き方に悩む社会人サーファーに必要なことは、「模索するプロセス自体を、楽しめるかどうか」ではないかと思っています。
今の私の取り組みはまだ「点」として散らばっています。でもその点をつなごうとする試行錯誤が、いつか「線」として結びつき、自分だけのマニューバーラインを描けたらなと思います。
本記事は、doda×noteのコラボ企画「#ワーク〈ライク〉バランス」への応募作品として執筆したものです。
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