Innner Current サーフィン

なぜサーフィン後のご飯は美味しいのか?

花に水を与えすぎてはいけない。
土の中には、目に見えない「空気の層」が存在します。根はこの隙間に含まれる酸素を使って呼吸し、エネルギーを生み出しています。ところが、水を過剰に与えると、その空間は水で満たされます。すると酸素は不足し、根の呼吸は妨げられ、低酸素環境を好む微生物が増え、やがて根腐れへと至ることがあります。

だからこそ、「乾いてからたっぷり」という方法が合理的です。一度乾燥することで空気が入り込み、その後の給水で水と酸素の両方が供給されます。植物の種類によっては例外もありますが、多くの植物は「適度な欠乏」があることで、吸収の効率やバランスが保たれます。

これは、ヒトの体にも通ずる部分があります。

たとえばサーフィンの後。海から上がり、シャワーを浴びたあとに食べるごはん。この食事が、なぜあれほどまでに美味しく感じられるのか。

単にお腹が空いているから、という説明だけでは十分ではありません。人は汗をかくと、水分と同時にナトリウムなどの電解質を失います。その結果、血液の浸透圧が変化し、脳の視床下部がそれを検知します。すると「喉の渇き」という感覚が生まれるだけでなく、水を摂取したときの満足感も高まりやすくなります。これは、体内の恒常性(ホメオスタシス)を保つための生理的な反応の一部でもあります。

さらにサーフィン中、体は常に海水にさらされているため発汗に気づきにくい状態にあります。さらに運動によってエネルギーも消費されます。つまり、自覚のないまま軽度の脱水とエネルギー不足が同時に進行している可能性があります。

また、人間の脳には「報酬系」と呼ばれる仕組みがあります。これは、生存に必要な行動(食事や水分補給など)を”快”として強く感じさせるシステムです。感じ方には個人差もあり、すべての人が同じように反応するわけではありませんが、体がある程度の欠乏状態にあると、この報酬系はより敏感に働く傾向があります。

つまり、コップ一杯の水を美味しく飲めるかどうかは、水そのものの温度や風味だけでなく、「どれだけ体がそれを必要としているか」という状態にも大きく左右されます。乾いた土が水を吸い込むように、渇いた体は栄養や水分を受け入れます。そして脳はそれを、より強い満足感として認識します。サーフィン後の食事が「いつも以上に美味しい」という感覚の一因は、こうした体の状態にあると考えられます。

適度なストレスがパフォーマンスを引き出すことがある。制約があることで発想が広がることもある。ハングリーな状態が成長のきっかけになる場合もある。ただし、これらはいずれも「適度な範囲」で成立するものです。欠乏が行き過ぎれば、むしろ機能は低下します。

満たされることと、あえて少し足りない状態をつくること。そのバランスの中にこそ、「味わう力」や「感じる力」は引き出されるのかもしれません。

 

本記事は、しゃぶ葉×noteのコラボ企画「#心を満たすひとりご飯」への応募作品として執筆したものです。

 

 

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