海には、人の心を動かす不思議な力があります。
その力は、言葉だけではなかなか説明できません。
その“海の力”を真正面から描いたドキュメンタリーがあります。
それが、Netflixで配信されている『Resurface(邦題:波に包まれて)』です。
この映画の主人公は、戦場から帰還した退役軍人たちです。
彼らはPTSD(心的外傷後ストレス障害)や四肢の欠損を抱えています。
戦場の記憶が突然よみがえる。
悪夢にうなされる。
強い不安や緊張が続く。
日常生活を送ることさえ難しくなることがあります。
戦争が終わっても、彼らの戦いは終わっていないのです。
そんな彼らを支援する取り組みが「Operation Surf」というサーフィン療法プログラムです。
波に集中する時間。
仲間と奮闘する時間。
自分と向き合う時間。
海は、固く閉ざされてしまった心をゆっくりと溶かしていきます。
病気は完治しないかもしれない。
でも、その病気への向き合い方は変わるはずだ――。
そんな再起のプロセスを静かに見つめたドキュメンタリーです。
この映画内に限らず、海によって人生を取り戻した人は、決して少なくありません。
女性サーファーのベサニー・ハミルトンは、13歳のときにサメに襲われ片腕を失いました。
ウインドサーファーの中里尚雄は自動車事故によって半身不随を宣告されました。
それでも、海へ戻ることを諦めず、再起不能と言われた運命を自らの力で覆しました。
近年ではパラサーフィンも広がり、日本でも障がい者サーフィン大会が開催されています。
私自身も、その光景を目の当たりにしたことがあります。ある日の鵠沼海岸でのことです。
海の上で必死にパドルしている一人の男性がいました。
波に押し戻されながらも、何度も沖へ向かおうとしていました。
よく見ると、片腕が筋萎縮のように細くなっていました。
それでも彼は、もう一方の腕だけで力強く水をかき、前へ前へと進んでいたのです。
その姿を見たとき、強く思いました。
サーフィンは、特定の誰かのものではない。
「自分には無理だ」という心の壁さえ取り払えば、誰にでもその機会は与えられている。
誰かと比較する必要はありません。
自分自身の壁を、少しずつ乗り越えていけばいい。
海は、誰にでも平等に開かれた場所なのです。
もし人生に行き詰まってどうしようもないとき、頭の中に「サーフィン」という引き出しがあるかどうか。
いきなり道具を揃えてサーフィンしなくてもいい。まずは海辺を散歩して波音に耳を澄ます。
それだけで、救われる未来があるかもしれません。
映画『Resurface』はサーフィン未経験者にこそ、ぜひ観てほしい作品です。
波は、ただ寄せては返しているだけではありません。
ときに誰かの心を、もう一度前に進ませる力を持っているのです。
本記事は、NETFLIX×noteのコラボ企画「#Netflix感想文」への応募作品として執筆したものです。
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